2024年7月26日から8月11日まで、フランスのパリにて開催されるオリンピック・パリ大会。1924年にパリで近代オリンピックが開催されてから、ちょうど100年目の記念すべき年ということもあり、今から大きな盛り上がりが予想されています。
最近ではスポーツ観戦の新しい楽しみ方としてスポーツベッティングが利用者を増やしていると言われています。ブックメーカーを介して挑戦してみようと思っている方も少なくないのではないのでしょうか。今回のオリンピックでは、残念ながらソフトボールや野球などのスポーツが公式種目から外れてしまいましたが、その代わりに新しく加えられたものもたくさんあります。その中でも注目を集めているのが『ブレイキン』です。「いったい何のスポーツ?」と首をかしげたくなるかもしれませんが、このスポーツ、世界的に見ても若者の間で圧倒的人気を得ているのです。ここではそんなブレイキンについて、ご紹介していきます。
ブレイキンてどんなスポーツ?
ブレイキン、と呼ばれていますが、実は『ブレイキング・ダンス』の略、つまりブレイクダンスのことなのです。ああ!と納得された方、多いのではないでしょうか。DJが流す音楽に乗せて身体のあらゆるところを使って、回ったり、跳ねたりとアクロバティックな動きを取り入れたダンスの一種で、ヒップホップカルチャーを象徴するものでもあります。
ブレイキンには様々な動きがありますが、大きく分けてTOPROCK、FOOTWORK、POWER MOVE、FREEZEといった4つの構成からなっています。そして、この4つの中にもたくさんの動きがあり、これらを基盤とし、ダンサー自身が独自の良さを生かした動き等を取り入れていきます。また、音楽はDJが選曲するため、選手は事前に知ることができません。流れる音楽に合わせて即興でダンスを作り上げていくという創造性も、ブレイキンの魅力のひとつなのです。
歴史
先述したように、ヒップホップカルチャーを校正する要素のひとつとも言われているブレイキンは、1970年代に、アメリカのニューヨーク・ブロンクス地区に住んでいたアフリカ系およびラテン系米国人によって生み出されたと言われています。
この地区を中心に当時活躍していたDJ Kool Herc(クール・ハーク)は、自分がプレイしている楽曲がブレイクに差し掛かるとダンスフロアの一部の若者たちがいつもよりもダイナミックなダンスを踊ることに気がつきました。彼らのダンスを見たDJ Kool Hercは、『メリーゴーランド』と呼ばれるテクニックで、同じレコード2枚を同時にプレイするようになりました。同じレコード2枚をミックスすれば、ブレイクを延ばして、ダンサーたちが踊れる時間を長くすることができたからです。このDJとフロアの連動によってブレイキンのダンススタイルが確立されました。
また、誕生した地域は、当時アメリカの貧困層が数多く住む場所でもありました。それだけに、ギャングどうしの抗争を暴力ではなく、ブレイキンで競い合うことで平和的解決につなげようとしたという歴史もあるのです。
ストリートから世界へ
こうしたアメリカの小さな地区で生まれたブレイキンは、若者を通じてやがて世界中へと広がっていきました。ギャング同士のバトルとして踊られたという要素は、『バトル』という競技要素のひとつとして残り、1対1から2対2のなどのソロ(1人で踊ること)を中心として戦うカテゴリーや、チームバトルなど大人数でルーティーン(合わせ技やチームとしての空気感やチーム力)をして戦うなど様々なカテゴリーがあります。勝敗は、ジャッジによる採点式で決められており、一般的にはトリビュームシステム(The Trivium Value System)と呼ばれる、『ボディ(技術)』『ソウル(表現)』『マインド(独創性)』の3つの評価基準をもとにポイントがつけられます。
現在、日本国内はもちろんのこと、世界中でブレイキンの大会が開催されるようになってきており、IOC(国際オリンピック委員会)は2018年にアルゼンチンで開かれたユースオリンピックで初めて実施しました。そこで多くの観客を集めたことなどが評価され、パリオリンピックで追加競技に採用されることとなったのです。ただし、パリ大会で行われるのはソロのみですが、今大会で人気にさらに火がつけば、近い将来、チーム種目での開催も実現するかもしれません。